2010年3月12日金曜日

F1用スパークプラグのお話

もうすぐ2010年のF1シーズンが開幕します。 そこで今回はF1用のスパークプラグのお話。一番上の写真は左端の長いプラグを除いて50年代末から現在に至るおもなF1プラグを年代順に並べたものです。左から2番目がコベントリークライマックス1.5L、2バルブ用、次がDFVからターボの初期に広く使われたレーシングプラグの定番、名作G54V(このプラグはカタログモデルとして市販されたので誰でも手に入れることが出来ます)、その横の長いのがターボ時代の末期、右から3番目は比較的最近のNA用でネジ径が8mmになってから、右端2本はそれをさらに小型化したものでレンチのかかる部分が6角ではなくもっと突起の少ない形状になっています。さすがにこのあたりになるとまだ“時効”と言うには早すぎるのでエンジン名はご勘弁ください。  こうして見ていくとプラグ開発の歴史は小型化の歴史であったことが分かります。 プラグ屋からみればネジ径は大きいほど作りやすいのですが一方エンジン屋からみれば何とかしてバルブ面積を大きく取りたい、そのためにプラグは出来るだけ小さいほうが良い、出来れば無いに越したことはーーーとなるわけです。戦前は18mm径が標準だったのですが戦後それが14mmとなりコベントリークライマックスの4バルブ化と共に10mmプラグがレーシングプラグの標準となってゆきます。ちなみにその頃はまだ接地電極があった
のですが(2枚目の写真の左側、奥に引っ込んでいますが接地電極自体は存在します)DFVが70年代になってCDI化された時接地電極の無いいわゆる沿面プラグ(2枚目写真の右側)が開発され今日に至るまでレース用プラグの定番となっています。 3枚目の写真は10mmプラグとその後に登場した8mmプラグです。最初に8mmプラグをトライしたのは楕円形ピストンで有名なホンダの4サイクルGPレーサーNR500だったと思います。F1プラグが8mm化されるはるか以前の話です。 その後さらに小型化を追い求めて(大きな写真でお見せ出来ないのがつらいのですが)上の写真の右2本のような形状になっていく訳です。
さてそれでは1枚目の写真の左端の長ーいプラグはどのエンジンに使われたものでしょうか? これがノーヒントですぐお判りになる方はグランプリエンジンの大権威と思います(今までこれらのプラグコレクションを見ていただいた方でお一人だけおられました)
ぜひ想像をめぐらしてみてください。
今週、グランプリフォトグラファーの原富治雄さんの写真展を見に行き少しお話をさせていただくチャンスがありました。 彼曰く、今のグランプリはもう以前の人間味が一杯のグランプリではなくなってしまったーーー。 私も同感です。個性豊かな天才たちがマシーン作りにアイデアを競い、これまた個性豊かな名優が神業とも思えるテクニックで乗りこなした時代、それをこの目で見てきた私たちは本当にいい時代に生まれたんだなーとまたまた思ってしまいました。
左端のプラグを使ったGPエンジンの答えは次回にでも      

2010年3月8日月曜日

FIAT Abarth 850TC

先日のモノミーレ、A112初期型に続いてまたまた素晴らしいAbarth が我が家を訪問してくれました。その名は850TCニュルブルクリンク、600Dをベースにディスクブレーキを装着した850TCが世に出たのが1960年、またたく間に大成功をおさめ61年にはなんと1000台以上もの850TCが製造されたと言われています。数々のレースで圧倒的な成功をおさめ、中でもニュルブルクリンク500KMレースでの大勝利を記念して、1962年よりさらに数馬力を上乗せしその名もニュルブルクリンクとして発売、64年まで製造されたのがこのモデル。現車は過剰レストアの無い実にいい雰囲気の車でした。しかもこれなら実用にも使えそうだし無粋なファミリーカーが峠道で挑戦してきたら何食わぬ顔でやっつける程度の力も秘めている、サイズも軽自動車と変わらない完璧なチョイスかも、これ以上書いているとまたまた体のどこかから欲しい欲しい病が出てきそうなので今日はこれでおしまいにします。

商品リストをアップデイトしました

OT Automotive Service のホームページが立ち上がってから早3ヶ月、この間 OT Automobilia, FIAT Parts, 趣味の車 For Sale の各コーナーに多くの方のアクセスを頂き誠にありがとうございました。ふと気がつくとかなりの商品が新しい愛好家の下に引き取られてゆきました。また新商品も次々と入庫中です。そこでより皆様にお楽しみ頂けるように下記のような変更を加えてみました。
1)古い書籍、雑誌、レースプログラム、カタログ、広告等をご紹介する Automobile Library のコーナーを新設しました。ここではFIATおじさんが少年時代から集めた多くの印刷物を順次ご紹介していきたいと思います。
2)各コーナーで成約済みの商品をまとめてリストの下に移して見やすくしました。
3)各コーナーに新商品の追加を始めました(面白い商品はまだまだあるのですがリスト作りが追いつきません。少しずつ追加していきますので気長にお待ちください)
4)一部商品を値下げしました。
これからもよろしくお願いします。

2010年3月1日月曜日

グッドバイ ビアンキ

昨日、我が家で9か月を過ごしたA112ジュニアが中部地方の愛好家のもとに嫁いで行きました。 このブログでも“究極のエコカー”として2カ月ほど前にご紹介したのでご記憶の読者もおられると思いますが最近の軽と変わらないかわいいボディ(プントと並ぶとそのコンパクトさがよくわかります)に903ccのエンジン、フュエルゲージが下限を指す頃に給油しても20Lを超えることはない小食ぶり、ほとんどかまってあげることも無かったのに駄々をこねることも無くいつもけなげに働いてくれました。穴のあいたボディに破れた内装、盗まれることはどう間違ってもなかろうとどこに止めてもカギなどかけてあげたこともありません。そんな末娘ですがいざ嫁ぐとなると急に可愛くなるのは世の常、(我が家に来て以来初めての)お化粧をしてもらいお見合い、幸い新しいオーナーはとても理解のある方であばたもえくぼに見えたらしく気に入っていただけました。 きっとジュニアも新天地で幸せな生活を送ることになるでしょう。
Good Bye Junior。 See you again !!