少し古い話になるが2カ月ほど前、ブリキの自動車コレクターの垂涎の的、幻のマルサン、キャデラックが2-3週間我が家に”滞在”したことがある。1951-53年頃のキャデラックをモデルにした1/18程度のかなり大きなブリキのおもちゃであるがなぜこのモデルがコレクターのあこがれの的になったかは一目見れば一目瞭然、ズバリその出来の良さに尽きると思う。これまでも1/1の実物は何度も見たことはあるがマルサンのこのモデルはミュージアム等では何度か見たことはあっても実際に手元でじっくり見て触るのは今回が初めてのことである。このモデル、しばらく倉庫に置き去りにされていたらしく埃にまみれ多少錆が進んでいるが手にとって少し掃除をしてやるとそのふくよかなフェンダーラインなどまさに実物そのもので、実際戦後の混乱期の1950年代半ばに日本でこのモデルの金型を設計製作した人物は相当な車好きだったのか或いは実車又は写真から金型を起こす天才だったに違いない。面白いのは当時のマルサンのモデル全てがこうした素晴らしい出来とは言えないことでこのキャデラック以外に確か50年代前半のフオードに素晴らしいものがあるがそれ以外の例えばビュイックなどは当時の一般的なブリキの出来と言って過言ではない。予算の制限なのか、人事異動なのか興味は尽きないところである。このモデルはあるモデルカーの大権威のもとに嫁いで行っていまは幸せな余生を送っている。
これはすごいモデルですね。同じ時代に鉄道模型の米国輸出用にも、とんでもない精密モデルがいくつかあり、幻の存在といわれています。豊かになり過ぎた日本人は、人件費の安いアジア等でものを作らせるばかり。俺が作ってみるという、技術屋さんや、工作の得意な人の「私の手で」というプライドや自負心が随分薄れました。男の子の中でも工作好きの子が、周囲の尊敬を受ける場面が無くなり、学校の成績と、将来の収入ばかり、親が考えてしまう。まことに寂しい時代になりました。或る意味危険なことです。
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